決断のとき 2

4時間半の道のりを二人で交代しながらやっと華のマンションへ着く。

「はぁ〜〜〜〜!」
疲れたように ソファに座り込む。
「で、この魚どうすればいいの?」
「あぁ俺がやるよ。先に風呂でも入ってろ!」
「え〜?いいのかなぁ。ま、私がやるよりうまいに決まってるしね。
じゃ、お任せ〜。お風呂お先にはいってきま〜す。」


華の入浴中に 正雄は勲からの贅沢な贈り物と格闘する。
ハマチはまだ息があり、まな板に乗せるとピチピチはねた。
返り血を浴びながら調理する正雄。

しばらくすると まるでてっさのようなハマチの薄作りとアラ煮が出来上がった。
しょうゆと砂糖の甘辛い香りが部屋に立ち込める。

「うわお〜すっご〜い!こんなのできちゃうんだ〜?もし、仕事がクビになっても
板前としてやっていけるんじゃない?
あ、そうだ。せっかくいいおつまみがあるんだから今日はとっておきの酒にしよう。」


今度は正雄が入浴。その間に華は塩焼きとサラダを用意した。
二人で今日の残念な釣果を語りながら、飲んで食べて、
忘年会と歓送迎会を一気に終えてしまったように酔った。

華は食器の片付け。
正雄はソファに腰掛け、ローテーブルにPCを置いた。

キッチンから
「今夜は泊まっていくの?」
「あぁ・・・・・明日の会議の資料がウチにあるから帰るよ。」
リンゴを剥く華。
器に入れてソファに座る正雄に持っていく。
器をローテーブルに置いた華の手を引き寄せる正雄。
自分とPCの間に華を座らせる。
画面には ビルの写真と韓国語を翻訳した文章。

「何?」
「今度、この韓国の会社とインテリア部門の共同経営が始まる。」
「へぇ〜」
「多分、俺かおまえか加藤か木島の誰かが行くことになると思う。」
「え?聞いてないわ。」
「そのうち選考されるだろう。・・・・韓国、興味ないか?」
「興味があるとかないとかより、今の仕事もいっぱいいっぱいだわ。いつからなの?」
「早ければ 年明け早々。」
「じゃ無理。だって今、契約しようとしてるところ3年計画なんだもの。」
「どっちみちどの部署にいたって異動はある。あとは残った者でどうにかするもんだ。」
「だって・・・韓国語わからないし・・・私には無理だわ。」


「もし、俺が行くことになったら一緒に行かないか?」
「部下として?それとも・・・」
正雄は自分の開いた脚の中に座る華を背後から抱きしめた。
二人は同じPCの方を向きながら頬と頬とすり合わせた。

「部下としてでもいいし、 妻としてでもいい。」
「ちょっといきなりすぎるなぁ。」
「向こうへ行ったら部屋もひとつ借りるだけでいい。」
「じゃあ、食事はお願いね!私はろくなもの作れないし、容量悪くて時間かかるのよ。」
華がそう言い終わるやいなや正雄は華の顎を引き寄せ、唇を奪う。
華も正雄の遠まわしなプロポーズに応えるように熱く唇を重ねていく。

「やっぱり今日は泊まっていくよ。」
唇を合わせたままこぼれる息で正雄が言う。
華はプイッと正雄から離れ、
「会議の資料はいいの?」と覗き込むように言う。
「明日5時半くらいに起きて取りに行けば間に合うだろう。」
「五時、、、五時半・・・?」
「俺は起きれるから大丈夫さ、おまえは仕事に遅刻しないように起きればいいよ。」
「五時半だなんて・・・まだ夜も明けてないわ(´_`) ぁ リンゴ食べてよ。」

テーマ : 自作小説 - ジャンル : 小説・文学

COMMENTS

COMMENT FORM

TRACKBACK


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)