選考
華は気に留めていなフリを見せたが、内心気持ちは揺れ動く。
新しい分野に挑戦しようとしている正雄に自分はついていくべきなのだろうか?
仕事も好調でようやく自分の意見が反映される立場になり、
責任を持ってやり遂げたい。
正雄との仲も順調で今のままならいずれは結婚して一緒に暮らしたい。
華、37歳。間に合えば 子供だって欲しい。
しかし、正雄は外国での仕事に意欲を燃やしている。
昔から自分の置かれたポイントで精力的に動き、基盤を築き、
発展させていく仕事人だ。
新しい分野の開発には欠かせない存在。
会社側も彼が「yes]と言えば、他の誰の名前も出さないだろう。
韓国・・・隣の国。移動時間も2,3時間。国内を移動するのも変わらない。
しかし、離れてしまえば男女の仲で何が起きても不思議ではない。
基盤に乗るまで3年。それまで待っていられるか?
その時点で今のような気持ちでいられるか?
正雄もそれが気がかりで華を求めるのだろう。
華が仕事のパートナーとして返事をすればそれで済む事。
しかし、華が入社して何も知らない頃から「責任」の言葉を教えてきたのは正雄だ。
今さら、この仕事を投げ出すわけにはいかない。
クライアントとの信頼関係もやっとのことで掴んだところ。
華が、今は身動きできない状況だということは正雄もわかっていた。
翌朝、五時半になる予定の目覚ましが少し早く起きた正雄によって解除された。
隣にはこちらを向いてうつぶせなり、スヤスヤと寝息をたてる華。
正雄はしばらくその寝顔を見つめ、ゆっくりとベットから出る。
ずれた掛け布団をもう一度華の肩にやさしく落とす。
息をしやすいように華の顎の輪郭に沿い、布団の形を整える。
子供のような寝顔の華を見つめ、優しく微笑むと寝室から出て行く。
6時半、ベットの枕元に転がる華の携帯が鳴る♪
「そろそろ起きろー。ちゃんと朝ごはん食べて出てこいよ。」
「ん・・・ぁ、ふぁい。」
正雄からのモーニングコールを切ると、華はゆっくりとベットから降り、
リビングへ。
テーブルの上には茶碗と箸、小さく刻まれたネギの入ったおわん、小鉢の煮物がセットされている。
ごはんが炊けたばかりの匂いが漂う。
コンロの片手鍋には昨日のハマチのあら汁。
「やっぱ、完璧だわ。」
正雄がキッチンに立つ姿を思い浮かべながら
まずは洗面台に向かう華・・・・・
7時45分
駅からあふれ出す人、横断歩道では一度に渡りきれないほどの人だかり。
車が渋滞する中をスイスイと縫うように華の原付バイクが行く。
正雄が会社の玄関をくぐる頃、地下の駐輪場にバイクを停めた華はエレベーターの↑を押す。
華の乗ったエレベーターが1階で停まると、正雄が他の社員と話しながら乗ってくる。
「おはようございます。」
「おはよう。」
会社の中ではあくまでも違う部署の上役と部下。
二人とその他大勢を乗せたエレベーターは途中、4階で半分に減った。
壁について立っていた華の隣に正雄が並ぶ。
目こそ合わせないが、触れ合う肩と腕がお互いを確かめているようだ。
7階に着くとそれぞれが反対方向へ歩き出し、それぞれの部署に就く。
「『あ〜、今、参りました。お待ち下さい。変わります。』佐伯主任、日東建材の社長さんからです。」部下の竹原が受話器を差し出す。
日東建材とは華が2年かけてようやく口説き落とした会社だ。
初めは「女だから」相手にされなかったが、華の決断力や潔さに関心を持たれ、
今では日東建材の社長は華のいちファンと自称するほど
深く関わりあうようになった。
話好きな社長はこうやって休み明けになると仕事の話の傍ら
「ゴルフに行ってきた」「旅行に行ってきて土産を買ってきた」「今度飲みに行かないか」と
電話をかけてくる。
普通の女性は嫌がるプライベートまでの干渉も
華は「これも女の特権」と言わんばかりに仕事に活用している。
電話中に秘書課の課長が華を探しに来る。
しばらく待っていたが、一向に終わる様子もない電話に痺れを切らし、竹原に何か伝言して去っていく。
それから5分後、ようやく受話器を置く華に
竹原「社長室に来るよう言われました。」
「朝からあなたとはまだろくに話ができないわね。」
竹原の肩をポンと叩きながら再びエレベーターに向かう。
10階の重役フロアに着くと秘書課長が立っていた。
「あ〜来た来た。皆、もう待ってるから・」
「なんですか?」
「いいから、早く社長室へ。」
中に入ると 正雄、加藤、木島がソファに座っている。
社長「あぁ、ご苦労さん。忙しいところ、悪かったね。」華は一礼すると正雄と向かい合わせの席に座る。
「休み明けで忙しいだろうから単刀直入に言う。
広報宣伝部経験者の君達のいずれかに韓国へ行って仕事をしてもらいたい。
期間はとりあえず2年。向こうでインテリアの会社を共同で立ち上げることになった。
通訳をつけるから言葉は徐々に覚えていけばいい。
主に部長と係長待遇で動いてもらう。
向こうも優秀な社員が就くだろう。
日本語も上手らしい。
決まったら1月20日〜稼動する。
いきなりでビックリするだろうが、その気があれば是非、挑戦してもらいたい。」
動揺を隠せない加藤や木島、華は正雄の顔を見ると静に資料に目を通していた。
新しい分野に挑戦しようとしている正雄に自分はついていくべきなのだろうか?
仕事も好調でようやく自分の意見が反映される立場になり、
責任を持ってやり遂げたい。
正雄との仲も順調で今のままならいずれは結婚して一緒に暮らしたい。
華、37歳。間に合えば 子供だって欲しい。
しかし、正雄は外国での仕事に意欲を燃やしている。
昔から自分の置かれたポイントで精力的に動き、基盤を築き、
発展させていく仕事人だ。
新しい分野の開発には欠かせない存在。
会社側も彼が「yes]と言えば、他の誰の名前も出さないだろう。
韓国・・・隣の国。移動時間も2,3時間。国内を移動するのも変わらない。
しかし、離れてしまえば男女の仲で何が起きても不思議ではない。
基盤に乗るまで3年。それまで待っていられるか?
その時点で今のような気持ちでいられるか?
正雄もそれが気がかりで華を求めるのだろう。
華が仕事のパートナーとして返事をすればそれで済む事。
しかし、華が入社して何も知らない頃から「責任」の言葉を教えてきたのは正雄だ。
今さら、この仕事を投げ出すわけにはいかない。
クライアントとの信頼関係もやっとのことで掴んだところ。
華が、今は身動きできない状況だということは正雄もわかっていた。
翌朝、五時半になる予定の目覚ましが少し早く起きた正雄によって解除された。
隣にはこちらを向いてうつぶせなり、スヤスヤと寝息をたてる華。
正雄はしばらくその寝顔を見つめ、ゆっくりとベットから出る。
ずれた掛け布団をもう一度華の肩にやさしく落とす。
息をしやすいように華の顎の輪郭に沿い、布団の形を整える。
子供のような寝顔の華を見つめ、優しく微笑むと寝室から出て行く。
6時半、ベットの枕元に転がる華の携帯が鳴る♪
「そろそろ起きろー。ちゃんと朝ごはん食べて出てこいよ。」
「ん・・・ぁ、ふぁい。」
正雄からのモーニングコールを切ると、華はゆっくりとベットから降り、
リビングへ。
テーブルの上には茶碗と箸、小さく刻まれたネギの入ったおわん、小鉢の煮物がセットされている。
ごはんが炊けたばかりの匂いが漂う。
コンロの片手鍋には昨日のハマチのあら汁。
「やっぱ、完璧だわ。」
正雄がキッチンに立つ姿を思い浮かべながら
まずは洗面台に向かう華・・・・・
7時45分
駅からあふれ出す人、横断歩道では一度に渡りきれないほどの人だかり。
車が渋滞する中をスイスイと縫うように華の原付バイクが行く。
正雄が会社の玄関をくぐる頃、地下の駐輪場にバイクを停めた華はエレベーターの↑を押す。
華の乗ったエレベーターが1階で停まると、正雄が他の社員と話しながら乗ってくる。
「おはようございます。」
「おはよう。」
会社の中ではあくまでも違う部署の上役と部下。
二人とその他大勢を乗せたエレベーターは途中、4階で半分に減った。
壁について立っていた華の隣に正雄が並ぶ。
目こそ合わせないが、触れ合う肩と腕がお互いを確かめているようだ。
7階に着くとそれぞれが反対方向へ歩き出し、それぞれの部署に就く。
「『あ〜、今、参りました。お待ち下さい。変わります。』佐伯主任、日東建材の社長さんからです。」部下の竹原が受話器を差し出す。
日東建材とは華が2年かけてようやく口説き落とした会社だ。
初めは「女だから」相手にされなかったが、華の決断力や潔さに関心を持たれ、
今では日東建材の社長は華のいちファンと自称するほど
深く関わりあうようになった。
話好きな社長はこうやって休み明けになると仕事の話の傍ら
「ゴルフに行ってきた」「旅行に行ってきて土産を買ってきた」「今度飲みに行かないか」と
電話をかけてくる。
普通の女性は嫌がるプライベートまでの干渉も
華は「これも女の特権」と言わんばかりに仕事に活用している。
電話中に秘書課の課長が華を探しに来る。
しばらく待っていたが、一向に終わる様子もない電話に痺れを切らし、竹原に何か伝言して去っていく。
それから5分後、ようやく受話器を置く華に
竹原「社長室に来るよう言われました。」
「朝からあなたとはまだろくに話ができないわね。」
竹原の肩をポンと叩きながら再びエレベーターに向かう。
10階の重役フロアに着くと秘書課長が立っていた。
「あ〜来た来た。皆、もう待ってるから・」
「なんですか?」
「いいから、早く社長室へ。」
中に入ると 正雄、加藤、木島がソファに座っている。
社長「あぁ、ご苦労さん。忙しいところ、悪かったね。」華は一礼すると正雄と向かい合わせの席に座る。
「休み明けで忙しいだろうから単刀直入に言う。
広報宣伝部経験者の君達のいずれかに韓国へ行って仕事をしてもらいたい。
期間はとりあえず2年。向こうでインテリアの会社を共同で立ち上げることになった。
通訳をつけるから言葉は徐々に覚えていけばいい。
主に部長と係長待遇で動いてもらう。
向こうも優秀な社員が就くだろう。
日本語も上手らしい。
決まったら1月20日〜稼動する。
いきなりでビックリするだろうが、その気があれば是非、挑戦してもらいたい。」
動揺を隠せない加藤や木島、華は正雄の顔を見ると静に資料に目を通していた。
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